歯ぐきが腫れた時、処方された薬ちゃんと飲み切っていますか?
「歯ぐきの腫れが治まったから飲むのやめてしまった(笑)」
そんな方も多いのではないでしょうか?
処方された薬を正しく飲まないと、腫れがぶり返すことがあります。
さらに、再び腫れた時に薬の効きが悪くなるかもしれませんよ!!
抗菌薬・抗生物質を途中でやめることで、減っていた細菌が再び増える。
もしくは、薬に強くなった耐性菌が生まれてきてしまうかもしれません。
解説していきます。
抗菌薬・抗生物質の効果
抗菌薬・抗生物質は治療後感染が予想される場合や感染が疑われる場合に処方されます。
体内の薬の濃度が高まる・また継続して飲むことで薬の濃度が保たれることで、菌は減ります。
最後は細菌の数が少なくなってくると体の免疫だけで、細菌を抑えられるようになります。
そもそも「飲み切り」ってどういう意味?
「飲み切ってください」とは、症状が消えても処方された分を最後まで飲むという意味です。
症状が治まった時点では、菌はまだ体の中に残っています。
ここでやめてしまうと、生き残った菌が再び増え、耐性菌が生まれる原因になります。
痛み止めのように「症状が出たときだけ飲む薬」とは考え方が違いますので、注意してください。
抗菌薬・抗生物質が処方されるタイミング
出血を伴う治療を受ける時
歯を抜いたり、歯茎を切って根っこについている歯石をとる治療などで、
出血を伴う治療では、毛細血管からの感染を予想して薬を処方します。
その他に、糖尿病・骨粗鬆症で感染しやすい場合は治療前に薬を服用していただきます。
歯茎・頬が腫れた場合
感染が原因により炎症・膿により腫れている場合は薬を処方します。
歯科で処方される抗生物質の種類
歯科では、主に次のような薬が処方されます。
- ペニシリン系(サワシリン、アモキシシリンなど)
- セフェム系(フロモックス、メイアクトなど)
- マクロライド系(クラリス、ジスロマックなど)…ペニシリンアレルギーがある方に使われることがあります
どの薬であっても、途中でやめると耐性菌ができるリスクは同じです。
なお、ジスロマック(アジスロマイシン)は3日分の服用で約1週間効果が続くタイプの薬です。
「3日で飲み終わった=量が足りない」ということではありませんので、ご安心ください。
歯医者で出される抗生物質はなぜ3日分が多いの?
「風邪の時は1週間分もらったのに、歯医者では3日分だけ。足りないのでは?」と思われる方がいます。
歯科の感染症は、薬よりも処置で原因そのものを取り除けることが多いという特徴があります。
膿を出す、汚れや歯石を取る、原因の歯を治療する。こうした処置で細菌の温床がなくなれば、抗菌薬は短期間で十分なことが多いのです。
研究でも、歯科感染症に対する短期間(3〜5日)の抗菌薬投与は、7日以上の投与と同等の効果が報告されています(※1)。ただし研究数はまだ限られており、症状や処置の内容によって必要な日数は変わります。
必要以上に長く飲むことは、耐性菌や副作用のリスクを高めます。
処方された日数は「短いから手抜き」ではなく、症状に応じて判断されたものです。
途中でやめるとどうなる?【耐性菌】
服用を途中でやめる・飲み忘れなどを繰り返すと菌の数が減りきりません。
その結果、再び菌が増えてきて症状がぶり返します。
また、細菌の中には抗菌薬・抗生物質に対して強くなった耐性菌が生まれて、
今まで使っていた薬が効きづらくなります。
耐性菌が増えると、次に感染したときに別の薬に変えたり、治療が長引いたりすることがあります。
途中でやめてしまった薬、また飲んでもいい?
「途中でやめてしまったけど、また腫れてきたから残りを飲もうかな」
これはおすすめできません。自己判断で再開せず、処方した歯科医院・医院に相談してください。
理由は次のとおりです。
- 残った薬では量が足りず、中途半端に菌を減らして耐性菌を育ててしまうことがある
- 症状の原因が前回と同じとは限らず、その薬が合わない場合がある
- 腫れの状態によっては、薬より先に膿を出す処置が必要な場合がある
再び腫れや痛みが出た場合は、残り薬に頼らず受診しましょう。
飲み忘れた時はどうする?
気づいた時点で1回分を飲んでください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は1回分を飛ばして、次から通常どおり飲みます。
2回分をまとめて飲むのはやめましょう。薬の濃度が上がりすぎて副作用の原因になります。
※薬によって対応が異なる場合があります。処方時の説明や薬剤師の指示に従ってください。
飲み切ったのに治らない時は?
処方された分を飲み切っても腫れや痛みが引かない場合は、そのまま様子を見ずに再受診してください。
次のような可能性が考えられます。
- 膿がたまっていて、薬だけでは届いていない
- 原因の歯の処置がまだ済んでいない
- その細菌にその薬が効きにくい
いずれの場合も、追加の処置や薬の変更が必要になります。
薬を飲み切って終わりにせず、症状が残っているうちにご相談ください。
まとめ
処方された抗菌薬・抗生物質を飲み切るのは耐性菌を作らせないためです。
耐性菌が生まれると、今まで効いていた薬では効果が出にくくなり、別の薬への変更や治療の長期化につながります。
- 症状が治まっても、処方された分は最後まで飲み切る
- 歯科で3日分の処方が多いのは、処置で原因を取り除けることが多いため
- 途中でやめてしまった薬を自己判断で再開しない(まずは受診・相談)
- 飲み忘れても2回分まとめて飲まない
- 飲み切っても治らない時は、様子を見ずに再受診する


耐性菌を作らせないためにも薬は用法・用量を守りましょう。
引用文献
※1 Cooper L, Stankiewicz N, Sneddon J, Smith A, Seaton RA. Optimum length of treatment with systemic antibiotics in adults with dental infections: a systematic review. Evid Based Dent. 2022. PMID: 36071280
以上になります。
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